アサヒビール大山崎山荘美術館
 

STAFF BLOG スタッフブログスタッフブログ

ブログ記事一覧

和巧絶佳展 ご紹介その1

2021月9月26日
  • 展覧会

ただいま開催中の展覧会「開館25周年記念 和巧絶佳展」について、本日よりスタッフブログでご紹介してまいります。

本展覧会では、日本の伝統や美意識に根差した工芸的な作品によって、いま最も注目されている1970年以降に生まれた作家、12名の作品を展示しています。

12名の中から、今回は舘鼻則孝氏、桑田卓郎氏、深堀隆介氏の作品を一部ご紹介いたします。

・舘鼻則孝 Tatehana Noritaka

DSC01238 4mp.JPG

Heel-less Shoes(2014)

こちらの作品は、展覧会の入り口でご覧いただけます。ヒールのない、真っ赤な厚底の靴。オブジェのような斬新なデザインで、足の形に沿ったエレガントなラインが印象的です。

Heel-less Shoes〉は、舘鼻氏が花魁(おいらん)の高下駄(たかげた)に着想を得て制作したもの。レディー・ガガやダフネ・ギネスなどに愛用されていることで有名です。様々なバリエーションのあるシリーズ作品で、展覧会ではこのほかにも、赤や青のクリスタルガラスで表面全体を覆ったタイプなどを展示しております。

舘鼻氏は1985年、東京都生まれ。高校生の頃に川久保玲に憧れてファッションデザイナーを志し、東京藝術大学では染織を専攻。江戸時代のファッションリーダーという観点から花魁に関心を持ち、卒業制作では花魁の高下駄とヨーロッパの革のブーツを融合させて《Heel-less Shoes(2010)を制作しました。高下駄だけでなく、日本刀、木版画、香文化など、日本の伝統文化を再解釈して現代の表現として再生し、過去と現在をつなぐことを課題として、幅広く活動しています。

展示では〈Heel-less Shoes〉のほか、舘鼻氏の追求するテーマである「生と死」を表現した《Camellia Fields》などの作品も展示しております。

DSC01232 4mp.JPG

Camellia Fields(2017)

また103()に、舘鼻氏の講演会「日本古来の文化をみなおし、未来を紡ぐ"リシンク"」を予定しております。詳しくはこちら

・桑田卓郎 Kuwata Takuro

DSC01222.JPG

《茶垸》(2015)

DSC01224 4mp.JPG

《空桃色化粧梅華皮志野垸》(2012)

強烈な色彩と、実際に見たときの作品の量感は圧倒的です。桑田卓郎氏の作品の特徴は、原始的でポップな色使いや、梅華皮(かいらぎ)・石爆(いしはぜ)といった伝統的なやきものの技法をデフォルメして生み出される、大胆な造形にあります。従来の器の概念を覆す作品として、現代アートの分野からも高く評価されています。

桑田氏は1981年、広島県生まれ。小学生のころから図工が好きで、京都嵯峨芸術大学に進学し陶芸を専攻。また高校から大学にかけて、ストリートダンスに身を投じました。その後、広島で作陶をしている財満進氏に弟子入り。当時、クラブで遊んでいた友達に茶碗や徳利を見せたところ、興味なさそうな反応ばかりだったことにショックを受け、やきもので同世代の感覚にも通じるような表現をしたいと考えるようになったことが、現在の作風につながる一つの要因となったそうです。現在は岐阜県に工房を構え、制作を行っています。

・深堀隆介 Fukahori Riusuke

DSC01234 4mp.JPG

《百舟》(2018)

升の中で金魚が泳いでいるように見えますが、この金魚は実は、透明な樹脂に描かれた絵。エポキシ樹脂の表面に、アクリル絵具で金魚の体の一部分を少しずつ描き、それを層状に重ねていくことで、立体的でリアルな金魚の姿を描きだしています。

金魚の絵はもちろんのこと、泳ぎ回る金魚が作る水面の波紋や、水に浮かぶ落ち葉まで非常に細かく作り込まれており、すみずみまで見ごたえのある作品です。

DSC01235 4mp.JPG

《百舟》(2018)(部分)

深堀氏は1973年、愛知県生まれ。愛知県立芸術大学を卒業した後、ディスプレー会社に勤めますが、自分の作りたいものを作りたいとアーティストの道へ転向。作家活動をしていく中で、制作に行き詰まりアーティストを辞めようとした時、部屋で飼っていた一匹の金魚に魅了され、金魚を描きはじめました。2002年に透明樹脂の層に描く技法を編み出し、現在は横浜にアトリエを構えて金魚を描き続けています。

(R)

夢をめぐる展1万人目のお客さま

2021月7月1日
  • 展覧会

ただいま開催中の展覧会「開館25周年記念 夢をめぐる―絵画の名品より」は、本日1万人目のお客さまをお迎えしました。多くの方にご来館いただき、本当にありがとうございます。

記念すべき1万人目のお客様は、高槻市からお越しのお二人です。

お二人はご友人どうしで、お一方は日本画を描かれているそうです。朝方の雨でやや足元が悪い中でしたが、誘い合わせてお越しいただいたとのこと、大変ありがとうございました!

IMG_0692 4mp.JPG

本館前で、記念撮影をパシャリ。

夢をめぐる展は74日(日)までとなっており、残すところあと3日となりました。

皆様のご来館、お待ちしております。

(R)

京都新聞にて連載ー名品にみる夢⑥

2021月6月24日
  • その他
  • 展覧会

6回シリーズで作品をご紹介する「名品にみる夢」。
京都新聞の洛西版・市内版にて、掲載していただきました。

現在開催中の展覧会、「開館25周年記念 夢をめぐる ―絵画の名品より」の展示作品の中から、当館の学芸員が選りすぐりの作品をご紹介しています。

最終回の本日第6回目は、《イギリス スリップウェア鳥文鉢》の紹介です。展覧会と合わせて、お楽しみいただければ幸いです。

掲載記事はこちらから大きな画面でご覧いただくことができます。
→記事表示

京都新聞⑥.jpg

京都新聞にて連載ー名品にみる夢⑤

2021月6月23日
  • その他
  • 展覧会

モネの《睡蓮》に始まり、6回シリーズで作品をご紹介する「名品にみる夢」。
京都新聞の洛西版・市内版にて、掲載していただきました。

現在開催中の展覧会、「開館25周年記念 夢をめぐる ―絵画の名品より」の展示作品の中から、当館の学芸員が選りすぐりの作品をご紹介しています。

第5回目は、ジスブレヒト・ランブレヒト・クロイク《オランダ 色絵花鳥文八角瓶》の紹介です。展覧会と合わせて、お楽しみいただければ幸いです。

掲載記事はこちらから大きな画面でご覧いただくことができます。
→記事表示

京都新聞⑤.jpg

夢をめぐる展 ご紹介その4

2021月6月22日
  • 展覧会

「夢をめぐる」展のご紹介記事も今回が最終回です。

本日は、本館の展示作品から、スリップウェアについてご紹介いたします。

スリップウェアとは?

DSC00748 4mp.JPG

「スリップウェア」とは、うつわの素地をクリーム状の化粧土(スリップ)で装飾して、焼成した陶器(ウェア)のことです。スリップをスポイトなどに仕込み、流しだして文様を描いたりするのが主な技法で、古代メソポタミア以来各地で制作され、とくに17世紀のイギリスで発展しました。18世紀に入ると、家庭の台所で鍋や皿として用いられるなど、庶民の間で普及しましたが、産業革命後は軽く使いやすい陶器の量産品が出回るようになり、スリップウェアは急速に姿を消しました。

本作《イギリス スリップウェア線文鉢》は、ジグザク、うねうねと勢いよく線が描かれています。素朴な色合いですが、とても存在感があります。

民藝運動での再生

このスリップウェアに注目し、世に紹介したのが柳宗悦ら、民藝運動を推進した同人たちでした。バーナード・リーチと濱田庄司は、1920年イギリスに窯を築いて研究と試作をかさね、18世紀のスリップウェアを復元することに成功しました。また、濱田が持ち帰ったイギリスのスリップウェアを見た河井寬次郎も、すぐにそれを模して制作を行ったということです。

途絶えていたイギリスのスリップウェアは、時を超えてリーチ、濱田、そして河井に大きな影響を与え、以降の彼らの作品にいかされていきました。

DSC00750 4mp.JPG

現在美術館では、18世紀のイギリスで作られたものから、バーナード・リーチ、濱田庄司、河井寬次郎が制作したスリップウェアまでご覧いただけます。見比べて、お気に入りを探してみても面白いかもしれませんね。

R