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和巧絶佳展 作品ご紹介 その5

2021月11月9日
  • 展覧会

本日は「和巧絶佳展」で展示している作品の中から、髙橋賢悟氏、池田晃将氏の作品をご紹介いたします。

・髙橋賢悟 Takahashi Kengo 

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flower funeral -goat-》(2019

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flower funeral -goat-》(2019)(部分)

flower funeral -goat-は無数の小花で羊の頭蓋骨を形作った作品です。アルミニウムの大きな花と、どこまでも咲いている小さな花、それらの薄さは驚異的な0.1mm

全体を埋め尽くしている小さな花は、実物の忘れな草を原型としており、実物の花は鋳造過程で焼失しますが、その形はアルミニウムに置き換わります。この技術は真空加圧鋳造と呼ばれています。花のひとつひとつを、膨大な時間と手間をかけて丹念に作っていく、その情熱と技術の確かさに、思わず息を呑んでしまいます。

制作者の髙橋氏は、鋳金(鋳造)という技法にこだわり、制作に取り組まれています。膨大な熱エネルギーが注ぎこまれた鋳型を割り、強さの中に柔らかさ、温かさがある作品に触れる感動は、生命が誕生したような感覚に似ていると言います。現代だからこそ存在する素材を選び、その素材美を追求し、新たな技法を生み出すことは今しかできないことであり、その覚悟や深さ、重さを作品に表現されているそうです。

髙橋氏は1982年鹿児島県生まれ。現在は東京藝術大学大学院美術学部工芸科鋳金研究室に籍を置き、研究と制作を続けています。

・池田晃将 Ikeda Terumasa

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Error403》(2020

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Error403》(2020)(部分)

Error403は螺鈿による無数の数字が並ぶ19㎝角の立方体です。

今回の展覧会に合わせた渾身の一作です。池田氏は「誰もこんなことをやったことはないし、自分としても挑戦的な作品」と話されています。

螺鈿の数字が止めどなく湧き上がり、流れ落ちるさまは、まるでデジタルの泉のようです。他の作品とは異なり、様々な大きさの数字と不規則な配置、ところどころ欠け落ちた立方体はSF映画の一場面を思い起こさせ、見る人を不思議な感覚に誘います。光の加減により螺鈿の色が美しく変化する様子をお楽しみください。

池田氏の数字螺鈿は、レーザーで貝殻をカットしており、技術も現代的です。現代テクノロジーと、作家の技と想像力の融合が、宇宙的な美しさの作品を生み出します。

池田氏は1987年生まれ。千葉県出身。「遺跡や宗教建築のような、細密の集積が生み出す荘厳さを求めて制作していて、古典的とも未来的ともとれない、現代の不確定な表情を映し出せればと考えている」という池田氏の今後の展開が楽しみです。

作品制作にかける強い想いと、想像をはるかに超える緻密な作業を経て作り出されるお二人の作品は、125日までご覧いただけます。

是非、美術館まで足をお運びください。皆様のご来館をお待ちしております。

(O)