クロード・モネ「睡蓮」

当館ではフランスを代表する画家クロード・モネ(1840〜1926)が描いた「睡蓮」をはじめ何点かの傑作を展示しております。モネの人気の秘密はどこにあるのでしょう? 現代を生きる人々はモネの絵になにを見ているのでしょうか?

モネの描いた景色は現代人の心を捉えて止みません。なぜでしょうか? モネの色調と筆づかい。そこには人を安堵させる暖かさと生きる喜びを感じさせる華やかさがあります。とかく大変な時代に生きているとプレッシャーを感じる現代人にとって、モネの絵は一服の清涼剤として働きかけてくれるのではないでしょうか。

ここに紹介する一連の絵画はモネが晩年に描いたものです。よく知られているようにモネは1890年にパリの郊外、ジベルニーに家を買い、日本庭園をつくりました。庭には池をつくり、日本の睡蓮を植えました。池には日本風の太鼓橋をかけ、モネは池と睡蓮をたくさん描きました。

これらの絵画は20世紀に描かれたものです。美術史上興味深いことは、モネが20世紀に描いた睡蓮の絵は長い間、評価されなかったこと。筆跡がくっきり残り、あたかも塗り残したまま未完成のような画面は、当時万人が理解するところではありませんでした。状況が変わったのは1950年代半ば以降のことです。アメリカで巨大なサイズのキャンバスに抽象画を描く「抽象表現主義」といわれる絵画のムーブメントが起こりました。同時に、モネの晩年の作品は再評価されはじめました。睡蓮を描きながらほとんど抽象にも見えるモネの作品は抽象表現主義を先取りしていた絵と解釈されたのです。

19世紀に印象派としてデビューし絵画の潮流を変えたモネ。彼は20世紀にもう一度、絵画史の流れを変えたと言えるのかもしれません。

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